またまた吹きガラス工具のお話 その2
以前、ちょっとマニアックな “ととや 戸田”の自前の吹きガラス工具のお話をしましたね。
さて、本日はその第2弾。 前回よりも、さら~にマニアックなお話の始まり始まり~♪。
前回は、吹きガラス工具のうちでも、基本になる “吹き棹” “洋箸” “はさみ”の3種の神器のお話でした。
今日は、まずは“はさみ”についで ととや 戸田 がよく使う工具“ピンサー”から話を始めましょう。
ピンサーは、ご存知、先端が鋭利に尖ったピンセットみたいなもので、ポンテを取るのに使ったり、ガラスをつまんで引っ張ったり、ピックアップの際、パーツをつかんだり・・・
と、一つの作業中でも様々に活躍するわけですが、このピンサー、各メーカーから実にいろいろなタイプのモノが販売されているのです。
で、僕のピンサーがこれ。
メーカーはジム・ムーア。
一般的に良く使われているタイプですが、小さいほうで長さ25cm、大きいほうで長さ31cm。
先の尖り方とかが良くて、つまんだり捻ったりする作業に欠かせない大事な道具の一つです。
余談ですが、メーカーカタログには、このサイズのさらに長い41cmな~んてのもあって、どんな使い方をするのか一度見てみたいものも。
さてこのピンサー、僕は、大きいほうより小さいほうが比較的良く使っています。
小さいけれど、自分の手のサイズにぴったりだし、バネの強さもちょうどいい。
ちなみにこの小さいピンサーは、僕の大事なガラス作家仲間からプレゼントされたもの。
ありがとう!大活躍させてますよ~。
ジム・ムーアの吹き工具は、東京のサン エンジニアリングや、大阪のロペックスなど、ガラス専門業者で結構取り扱っていますから、関心のある方は問い合わせてみて下さいね!
では続いて、今度はワイングラスを作るときに欠かせない道具 “台広げ”をご紹介。
台広げは、読んで字の如くワイングラスの円形の台をきれいに作るための特殊道具で、ガラス製造メーカーや個人工房にはかならずと言っていいほどある代物。
僕の台広げもよく使われているタイプのものを板金工場で作ってもらったもの。
使い方は、蝶番の部分に濡らしたボール紙をはさんで下の画像のように手に持ち、ワイングラスの足の先についたやわらかいガラスを軽くはさむようにしながら広げていく。
棹を回しながらうまく広げていくには、ちょっとしたコツをつかむまで、繰り返しの練習が必要で、なかなか使いこなすのが難しい道具の一つです。
この僕の台広げは、特注したおかげで金属部分の厚みが薄く作られており、シャープな台を作るのがすごく楽チン。
いい台広げですよ~。
ちなみに、台広げは木の板で手作りすることもあります。
うちの徳島ガラススタジオのスタッフの一人は、市販されている大きめの蝶番に手を加えて、オリジナルの台広げを作っていました。
では、このヘンからちょっと変わった?道具のご紹介。
まずは画像からご覧あれ。
これ、見たら分かりますよね?
そう!菜っきり包丁!
これ一体何に使ってるの?と疑問に思われる方もいると思いますが、コテの一つとして使っています。
メーカーからは、“Tagliol(タリオル)”と言う名前で発売されている金属のコテがあって、それをまねて使っている道具。
ちなみにこの“Tagliol(タリオル)”とは、イタリア語で“包丁”の意味で、まさにその言葉通りでしょ。
ガラスの表面にラインを入れたり、ガラスの上にのせたガラスダネを伸ばしたり…
と、ソリッドワークには欠かせない道具です。
ソリッドワークとは…ソリッドワークは、ガラスダネをポンテ棹に巻いてかたまりの
ままで加工して人頭や馬などの形を作る技法。
この戸田専用のTagliol(タリオル)、家の台所から使っていなさそうなのをこっそり…
もちろん、刃はつぶしてありますよ。
製造元は、刃物で有名な兵庫県の三木市の刃物メーカー。
日本の刃物っていいですよ~。(って、刃はつぶしちゃったから何にも切れないんですが)
さあ、次に紹介するのは、イタリアはムラノ島出身の道具。 の、バッタもの。
何かといいますと…
これ、実は“顔のスタンプ”。
横方向だと分かりませんね、では正面から。
分かります? 子供の顔が彫られているのが。
これ、ベネチアングラスなどでガラスの天使を作ったりするときに顔の部分を作るのに使う道具。
やわらかいガラスの上から押し付けると、顔が立体的にスタンプされるわけ。
実はこのスタンプ、ととや 戸田の手作りの道具。
もとは、現在香川県でガラス作家として活躍している 深瀬 貴彦氏がイタリアで買ってきたものを、見ただけで欲しくなった戸田が、それらしく作ったもの。
まずは、顔の形をWAXで作って、それを耐火石膏で型取り、そこへ錫と銅の合金を流し込んで、冷めたらちょっと修正を施して木の柄を付けたら完成。
錫と銅の合金ですけど、うちには再加熱炉という高温になる炉がありますからね、坩堝にいれて溶かすなんて造作のないことです。
これは、子供の顔ですが、本場イタリアには大人の女の人と、男の人の顔スタンプもあるようです。
本物に勝るとも劣らないすばらしい出来のスタンプ! なんですが…
考えたら、僕はあまりこういうスタンプを使うような仕事をしていなかったのでした!
う~ん、宝の持ち腐れ。
では、手作り絡みの道具をもう一品ご紹介。
これは、左の先の尖ったはさみみたいなのが、ガラスを両側から挟んで穴を開けるのに使う道具で、右の分が、ガラスを挟んで引っ付けたりするのに使う道具。
元々は、ホームセンターで市販されていた七輪用の“練炭”をはさむ道具で、10年くらい前で確か400円くらいのもの。
それをちょっと改造させてもらって、作ってみました。
以前、ワインデキャンターを作っていた頃、真ん中がドーナツのように抜けているボトルや、おへそのように引っ付いているボトルを作るのに大活躍してくれました。でも、最近使ってあげてないなあ。
また、使う機会を作らないといけませんね。
さて、今回も様々な ととや 戸田 の吹き工具をご紹介させていただきました。
吹きガラスのガラスは、作業の時は当然だけど直接は手に触れられないもの。
それだけに、道具がどうしても重要になってくるわけです。
ですから、つい道具にこだわりがちになってしまうのですが、いい道具を手に入れても道具が作品を作ってくれるわけじゃありませんから、日々の精進を忘れないようにしたいですね!
それでは、ととや 戸田のこだわり吹き工具のお話はこれでおしまい。
また、変わった道具が手に入ったらご紹介しますね~。
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