蜻蛉玉の増井先生をお招きして・・・
さる9月16日から、18日までの三日間、徳島ガラススタジオにおいて、
第12回徳島ガラスセミナーが開催されました。
今回、お招きした講師は、
奈良で活躍されている蜻蛉玉(とんぼだま)作家の増井敏雅先生。
小さな玉の中に、どうやって自分の気持ちを込めるのか、
やさしく丁寧に指導してくださいました…
講師の増井先生は、大阪出身で、1960年生まれの48歳。
87年から独学で蜻蛉玉作りを学ばれたあと、現在は、奈良県明日香村
に工房を構えて、玉作りをされています。
今回のセミナーでは、増井先生お得意の、“点打ち”と“引っかき”をメインに
指導していただきました。
点打ちは、蜻蛉玉をやったことのある人なら誰でも経験のある、基本的な
色付け技法の一つ。 ベースになる玉に、チョンチョンとドット模様を付けていく
あれのことで、『なんだ、それならできるよ。』と思う人もいるかも…。
でも、基本になるテクニックなだけに、とことん突き詰めれば、さまざまなデザインを
表現することもできる、すご~い技法だということを、今回、あらためて教わりました。
増井先生が蜻蛉玉を始めた20年前、多くの蜻蛉玉作家は、花模様や人面などの
パーツをあらかじめ作って、玉に象嵌する手法で作品を手がけていました。
若かりし頃の増井先生は、考えました。
『…人と同じことをやっても、所詮、人の真似事に過ぎないじゃないか…
それならば、人のやっていない方法で、作品を作ってやろう…』
そうして生まれたのが、増井先生独自の、点打ちを駆使した蜻蛉玉。
ほんの数センチの玉の中に、多いときは、数百個もの点を打つそう。
完成した蜻蛉玉のすごさには、本当に脱帽です。
(増井先生のすばらしい作品は前回のエントリー
『芸術の秋は、蜻蛉玉から。』をご覧下さいね)
先生の話では、作っているときはガラスとの戦いで、一つの玉に長いと、3時間!
それだけ長時間に及ぶと、ガラスの方がまいってしまうので、しょっちゅうバーナーの
炎の状態を変えて、ガラスの様子を見ながら制作するそうです。
〔ガラスがまいってしまう〕・・・あくまでも想像なのですが、長時間ガラスが柔らかい
状態が続くと、ガラスの中の成分の一部が段々と揮発して、あるときを境に、
ガラス自体が持っている性質そのものが変化してしまうのでは・・・
ガラススタジオのセミナーでは、
さすがにそこまで長時間の制作はしませんでしたが、
それでも、点打ちだけで葡萄の葉っぱや実、くねくねとした蔓まで表現して
見せてくださったのは、感動ものでした。特に葉っぱがすごい!
1mmにも満たない点の上に、さらに小さな点を6つも打って溶かしてから引っかくと、
葉脈入りの葉っぱの出来上がり!
ちなみに僕が同じことをやれば、
確実に手が震えて6つどころか2つでも難しいでしょう。
今回、このガラスセミナーを受講してくれた方は、全部で14人。
遠くは、富山や高知からの参加者もいて、かなり熱の入ったセミナーになりました。
参加者は、先生のデモを見て、そのあと、それを再現しようと点打ちで悪戦苦闘!
小さな点々を正確に打っていくのは、本当に難しい!
増井先生は、参加者が制作中、ずう~っと見守っていてくれて、
『あ~っ!』
とか声が聞こえると、ダッシュで救援に向かってくれ、際どいところを助けてくれました。
フットワークの軽い、やさしい、イイ先生です。
セミナーでは、その他にも様々なテクニックを披露してくれて、最終的に三日間で
8種類の蜻蛉玉の作り方を学びました。
参加してくれた方は、みんな大満足!
楽しい、いいガラスセミナーでした。
最後に、増井先生のおっしゃってた一言。
『他人と同じことをしていても人真似に過ぎないものしか作れない。
蜻蛉玉でも何でもそうだけれど、オリジナルの、自分だけのモノを作れ!』
…深い! いい言葉です。
モノを作る者の一人として、自分もいつもそうでありたいと、
あらためて考えさせられたワークショップでした。
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